当節素肌事情
みつる様




レディ・アルビダのスベスベのお肌は基本的にすべての摩擦をゼロにするが、 なんでもかんでもスリップさせるわけではなく「滑らせないものを選ぶ」こと が出来る。
「でなきゃ紅も引けやしない」とは本人の言葉であるが、自分自身と、肌の延 長である衣服以外は、努めて意識して「これは除外」としなければ、つるつる スベスベ手にとることも難しいというのが現状のようである。


 アルビダが乗船してからというもの、バギー一味の船は隅から隅までちり一 つない異様な清潔さに支配されていた。
 結構な数の構成人員であるので毎日は無理だが、最低でも1日置きには風呂 に入ることも強制されている。散らかってようが不潔だろうが、病気にならな ければそれで良しとしていた乗組員たちから不満の声が上がるかと思いきや、 1人残らず嬉々として、アルビダの指示に従って掃除洗濯清潔保持に情熱を燃 やしている。
 バギー一味の水夫たちの腰には、サッシュベルトに挟んだ乾拭き用の雑巾の 白が、目にも眩しく翻っているのだ。

 船長といえども例外ではなく、さすがに掃除は免除されていたがかわりに毎 日、きちんとシャンプーリンスボディーソープを使用しての入浴を厳命されて いる。
 「じゃなきゃ一緒に寝てやんないよ」が決め手となって、その名を聞けば泣 く子も黙る道化のバギー船長は、船長帽の両脇からサラサラのストレートヘア をなびかせて船内を闊歩しているのだった。


 毎朝アルコール清掃をして清潔に保たれているデッキチェアを限界まで倒し て腹這いに寝そべり、アルビダは東の海の地図を広げていた。
 本日は晴天、風もなくベタ凪ぎ。
 こうなると帆船は行動力の大半を奪われてしまって、水夫たちもヒマそうに うろうろしては、あちこち拭いたり磨いたりしている。
 怒鳴り付けて金棒を振るわなくても、いつも気持ちの良い清潔さに包まって いられる環境に、アルビダは至極満足していた。
 愛憎入り交じる麦わらのルフィにぶっ飛ばされて、たどり着いた無人島での サバイバル生活が若い頃のプロポーションと美貌を取り戻させ、飢えに負けて 齧った、漂着した悪魔の実がソバカスを消しただけなのに、男というものは単 純で可愛い。
「どこにいるんだい?ルフィ‥‥」
 武器を振るうために爪を切り揃えた細い指が、地図をつい、となぞった。
 あの生意気な小僧を跪かせて、足にキスでもさせてやったらさぞかし気分が いいだろう。あの強さ、ゴムで打撃が効かないとなれば自分には圧倒的に負け の状況だが…
「従わせるのは力だけじゃないさ」
 ふふ、と漏らす笑みは恐ろしく蠱惑的で、幹部専用デッキに立ち入り出来な い下っ端どもが、よじ登ったマストからそれを目にしてチャーム効果が発動。 ああ、着いて行きますアルビダ姐さん!
 魚人海賊団のアーロンを撃破したと聞いた。驚愕の大台3000万ベリーの手配 書も新聞に挟まって。
「グランドラインを目指すとなれば…」
 地図を辿る指先に、背後から手袋をした手が行き先を示した。
「ローグタウン」
「向かってんのかい、バギー」
「あたぼうよ。麦わらの野郎、ハデにぶち殺してくれる」
「頼もしいねぇ」
 デッキチェアの端に腰を下ろしたバギーを、アルビダは上半身を捻って起こ し微笑んで迎えた。豊かに波打つ黒髪が背中を流れて、トップレスですかアル ビダ姐さん!

 たわわである。ぷるんぷるんのスベスベである。
 
 マストに鈴生りになった下っ端どもが飛ばすハートで、デッキは一面ピンク の渦。
「野郎どもにゃ目の毒だな」
 たっぷりとした重さの果実を掬い上げて、遠慮もなく揉むバギーの手付きの やーらしさに、デッキの片隅の物陰からもハートが飛んでくる。見やれば参謀 長が鼻血を流して、副船長はバギーの手付きを真似て宙を揉んでいる。
「うっとおしいねぇ」
 背中を逸らし、双球をバギーに委ねてうっとりしながら、アルビダは両の手 でバギーの目を塞いだ。

 乱反射!

 光をスリップさせてみた。
 目を灼かれて甲板に墜落していく下っ端たちの幸せそうな叫びを、目を塞が れたバギーが聞いて嘆息した。
「ハデアホ共が…」
「ふふ、減るもんじゃないけどね。何の悪さも出来るわけでなし、あっん」
「無駄に怪我させてくれては困るな、レディ・アルビダよ」
 きゅっと摘んでお仕置きするバギー船長にのしかかられて、昼間から外でま ず一戦。


「どうしてバギー船長はスリップしないのですか?」
「知りたいか」
 出血多量で危うくなった参謀長の疑問に、船長はニヤリと笑った。
「それは聞くも涙、語るも涙の艱難辛苦の夜を重ねた末にたどり着いた…」
「はふーん」
 劣情に身を捩ってライオンにも嫌がられている副船長を、バラバラパンチで 突き倒す。
「閨房の秘密ってやつだ。ぶあーっはっはっはっは!!」


 下品な笑いがこだまするのを聞きながら、アルビダは風呂場へと急いでいた。
 あの道化た化粧をしてる時はキスするなって言ってるのにまったく。
 3日で1本の口紅を消費するバギーの、顔も身体も構わずに移されたその赤 が、不快なのだが心地よくもあって、アタシも焼きが回ったよと苦笑混じりに 呟いた。
 肌の境界線を越えちまったなんて、他人に言えることじゃない。
 自分自身と同じだなんて、それがあたりまえに嬉しいなんてね。
 アンタの鼻を可愛いって言う女はいなかったのかい?と口説いたことなぞ。

 ホントはルフィなんてどうでもいいのさ。



 ローグタウンへ向かう航路の途中も、獲物は逃がさず仕留めていく。
「ハデに奪え野郎共ーーー!!」
 傍らに金棒。



END




 みつるさんのサイト「ぜんまい稼動」でカウンタ3333を踏んでおねだりした
 イバラカップリング・バギビダ。
「やっぱりこれイバラじゃない!」と仰ってましたが、ええ、もう。
 これからどんどん浸透していきますよバギビダは。
 この話が先頭に立つくらいの勢いで。
 まだまだガキンチョな志紀には鼻血もんなバギビダでございました。
 姐さんどこまでもついていきます。


 みつるさんの素敵サイトはこちら →  ぜんまい稼動

 20010602




Back



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送